インターネットビジネスが儲からない理由

よくインターネットビジネスは儲かるモデルが少ないと言われる。
確かに、Webで成り立っているビジネスモデルといえば、

  • 広告
    • バナー広告
    • 検索連動広告
    • コンテンツ連動広告
  • 課金・有料オプション
    • Blogやメールの容量拡大
    • Yahooオークション他
  • セールス
    • ショッピングサイト
    • コンテンツサイト


くらいしかないと言える。 だから、よくいわゆるリアルビジネス業界の人には『ネットは広告くらいしか儲からないでしょ』とか梅田望夫さん(id:umedamochio)の「ウェブ進化論」に例として書かれていた様に『実業ではない』等と言われたりする。
そう言われるのは僕らネット世代にはとってもくやしいことなのだが、儲かるビジネスモデルが少ないのは事実だ。
そして皮肉なことに、僕らネット好きな人間にとって代表選手であるGoogleこそが、ロングテール広告とチープ理論に支えられた収益によって、従来ならば有料にできたサービスを無料にしてしまっている。
こういう現状に対して、僕らネット派はどう言い返せばいいんだろうか? 僕らのヒーローGoogleが結果的にネットビジネスを難しくしている面がある。(もちろんAdwordsAdsenseによって儲かる人もいるが、それによって有料モデルが崩されたサービスもあるという意味)

そんな理由を考えているうちに、あるヒントが浮かんで来た。
それは、『ネットはお金が居づらい世界なんじゃないか?』ということ。
リアルの世界でも、お金が活躍しやすい世界とそうでない世界がある。例えば、都会と田舎を比較すると、都会の方がお金は活躍しやすい。経済先進国と発展途上国を比べると、もちろん前者の方がお金は生きやすい。そういう程度の差が間違いなくある。
その程度がネットはとても低いんじゃないか、という考えだ。


何故かと考えた時、お金というのがそもそもなぜ生まれて、どんな役目を果たしているかを考えるとうまく理由がつく。
お金は物々交換の限界を破るために生まれた。物々交換の時代は、直接物やサービスを取引するので、時間と場所を一致させないとトレードが成り立たない。漁師が魚を取り、農家がお米をつくる。それを直接交換する。こういった形だ。
しかし、それでは色々と不便なことが起きてくる。何か取引を代替する中間物(お金)であったり、取引を記録して前払い後払いの仕組み(債券)を作らないと、人の出会い・物の大きさ・サービスの内容・時間・場所等、様々な制約を受けてしまう。そうした中で自然と生まれたのがお金だ。


つまり、お金によって、直接対面している人以外とも取引ができる様になったし、取引物を取引の場に必ず持ってくる必要もないし、取引の時間や場所が一致している必要もなくなった。お金のおかげだ。こういう制約を解消することこそ、お金の役割だ。


ところが、Webは、お金がなくてもこういう制限が解消されてしまっているのだ。
取引する人を探したり出会うのも簡単(検索エンジンSNS、オークション)。物やサービスや情報のやり取りも簡単。もちろん時間や場所にも縛られない。
だから、お金がそもそも必要ない世界なんじゃないかと。

リアルワールドでは、お金がないとえらく不便だ。お金というものがなかったら生まれなかった製品やサービスばかりだ。
一方、ウェブでは、お金がなくても困らない。事足りてしまうのである。だから、お金も『ここでは僕らはあんまり必要ないね』ということで来てくれないんじゃないだろうか。

じゃあ、ウェブがつまらない世界か、というともちろんそんなことはない。価値が生まれにくい世界かというと、むしろ反対だ。
お金がなくても、経済が回転する、発展する世界。それがウェブなんだと思う。
そもそも経済圏が違うのだ。経済圏というか、経済原理そのものが違うのだ。だから、お金は必要とされないんだ。
お金がないのに、経済や価値が回転するなんてすごいじゃないか。全く新しい世界だ。これこそ資本主義や社会主義と並ぶ程の、新しく、すばらしい経済世界じゃないか。
お金を介さなくてもサービスを受けられる。情報のやり取りができる。なんてすばらしいんだ。
人や物やサービス内容や時間や場所に縛られない。なんて素敵な世界なんだ。

『インターネットは儲からない』なんて言っている奴らは放っておこう。彼らは新しい経済原理ができたことに気づいていないんだ。オープンソースWebサービス検索エンジンマッシュアップ、参加型サービス。これらの新しい潮流がどんどんこの新しい経済圏を効率的なものにしていく。ウェブはルールが違うんだ。この世界を無理矢理リアルワールドに当てはめようとする必要はない。
僕らはこの儲からない世界を誇りに思って、発展させていこう。


※もちろん人はウェブだけでは生きられないので、リアル世界で生きる為にお金はとても大切で重要です。
リアル経済の批判でななく、それぞれの世界に適した経済を創っていけばいいという論です。