Google携帯PFの見所

wanwangorogoro2007-11-11

 Googleの携帯向けプラットフォーム『Android(アンドロイド)』について考えてみる。いろいろな観点があるが、まずは”標準化”について取り上げる。

アンドロイドはGoogleが参加したことで注目を浴びているが、これまでも何度もあった携帯PFの”標準化”のひとつに過ぎない。これまでもキャリアやNokia等の端末メーカが取り組んできた活動と同じだ。

 標準化によって何が変わるかというと、大きく分けて3つある。

  • 規模の経済により、その分野のコストが低くなる
  • IFが統一されることで、周辺分野が活性化する
  • その分野での企業間の差がなくなる


 つ目が、キャリアやメーカにとっての主な狙いとなる。Googleの”うまい話”に世界中のプレーヤーが乗ったのも、携帯の調達・開発コストを下げることが重要課題としてあるからだ。


 つ目は、例としてWindowsを考えるとわかりやすいだろう。(これは業界談合によって決められたデジュールスタンダードではなく、実力で勝ち取ったデファクトスタンダードだが、標準化であることに変わりはないので、例としてあげる)Windowsという標準プラットフォームが定められたことによって周辺産業が活性化し、多くの周辺機器やアプリケーションが生まれることにつながった。PC業界がいわゆる垂直統合から水平分業になったのは、Windowsがその規範となる標準を定めたからだ。基準ができることで、参入しやすくなるのだ。Googleが世直ししたいのはこの点だろう。


 つ目が、今回一番注目したい点だ。これは世間では最も注目されていない点でもある。標準化を行うとは、その分野が共通化されるということだ。つまり、この分野での差はなくなる。これは一つ目と二つ目のメリットの影に隠れたマイナスの影響をもたらすこともある。

 それは、イノベーションを阻害することだ。標準化を行うと、新たな機能や規格を追加するスピードは当然遅くなる。みんなで相談して決める必要があるからだ。規格は膨れ上がり、各社の思惑が絡み合い、どんどん意思決定のスピードが遅くなっていくのが一般的だ。今回はLinux等のオープンソースを使うので、この点をうまくマネジメントできるかもしれない。

 また、標準化とは『この部分はみんな一緒でいいよね』と判断したことになるので、この分野で新たな革新が起きないと自ら決めつけていることにつながる。本当にそうならばいいが、未来永劫進化がないなどと言い切れる分野はない。イノベーションのジレンマでよく知られている通り、イノベーションとは軽く見ていた分野から起きるものだ。皆が標準化に従っているうちに、全く違う取り組みをしたプレーヤーがその分野で革新を起こす可能性がある。例えば、標準化と真っ向から対抗するiPhoneのアップルが候補の一番手だろう。

 
 以上のように、標準化はいいことばかりではなく、メリットもデメリットもある。デメリットの部分をどうマネジメントしていくかが見物だ。




ベールを脱いだグーグルの携帯電話プラットフォーム「Android」:モバイルチャンネル - CNET Japan

Googleは11月5日午前の記者会見において 携帯電話向けの新ソフトウェア「Android」を正式に発表した。Androidプラットフォーム上のアプリケーション開発に携わる国際的なアライアンス「Open Handset Alliance」には34社が参加する意向を表明している。参加企業には、端末メーカーHTCやMotorola、米国の通信事業者T-Mobile、チップメーカーQualcommなどが含まれる。  Androidプラットフォームは、OS、ミドルウェア、ユーザーフレンドリーなインターフェース、アプリケーションで構成される。

http://japan.cnet.com/mobile/story/0,3800078151,20360369,00.htm