世界の仕組みを解く本

 人気ブロガーでもある内田樹さんの本「私家版ユダヤ人論」という本が勉強になる。多くの日本人にとっては遠い存在でどことなく神秘的な雰囲気を持つ「ユダヤ人」問題をテーマに、世界の仕組みを論じている。

 一般的に議論さあれているユダヤ人論とは異なり、内田さんの考えによると、ユダヤ人とは「欧州人(キリスト教者)が自分とは違う存在とみなしているもの」のようだ。言うなれば、alien、other peopleといった感じか。

 自分とは異なる存在だからこそ、憧れ、求め、逆に、憎むユダヤ人とは、人種や国や宗教ではなく、そういう存在だと言う。まるで、クラスに一人はいる「頭が良くてクールな、憧れるし仲良くなりたいけど、近付き難いし友達少なそうなやつ」みたいに読める。

 そのような存在がなぜ生まれたのか? 人類全体にとってそういう存在がいるということはどんな意味を持つのか? 明言はされていないが、ユダヤ人は、人類がいる限り、必ず必要な存在という風に読める。なぜなら、世の中はそうできているからだ。何にでも表と裏、陰と陽があるように、人類にとってユダヤ人は必ず必要な存在なのではないかと読める。


 イエンスとは関係のない本だが、世界の仕組みを論じているので、なにか物理学の香りを感じる本だ。とても難解な箇所も多いが、とても勉強になる。頭が良くなる本だ。

内田樹の研究室

http://blog.tatsuru.com/

私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)

私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)