もひとつ競争について

市場規模は必ず下がると書いたが、必ずしも利益が下がるというわけではない。なぜなら効率化によりコストも下がっているからだ。コストが下がった分、適切に料金をさげればユーザは喜ぶし、利益も減らない。これが適切な経営だ。コストが下がったのに値段を変えなければ儲かりそうだが、そういうことをすると競合にやられる。ユーザをだましたらユーザは帰ってこない。長い目で見れば適切にユーザと付き合うのが一番利益を生むのだと思う。

ここでよく価格破壊と呼ばれる無茶な安値施策についても考えたい。これはその企業にも競合にもユーザにとってもよくないことである。一見、ユーザは得するし、価格破壊をした企業もシェアを得て儲かりそうだが、違う。コストダウン等の適切な理由に基づいた適切な割引は上記の通りいいことなのだが、無茶な破壊は全てを崩してしまう。無茶な割引は文字通り無茶なので、ずっとは続かない。その企業や競合は体力が減って今後の投資が減り、長期的にみてユーザにも不利益をもたらす。また、ユーザも非常識な価格に慣れてしまうと、価値を正確に判断できなくなってしまう。これは一番不幸なことだ。市場経済は人の心を適切に反映することで成り立っているので、その感覚がずれると正しく価値を見出だせなくなる。価値のあるものを思えなくなるのは不幸なことだ。だから、経営は適切にユーザの心にしたがって栄枯盛衰すべきなのだ。