テレビCMをやめられないわけ
今日は日本のテレビCM産業の実体について、ビックリする様な調査データがあるので、公開します。
きっかけは、『Ad Innovator』の織田さん監修の『テレビCM崩壊』という本がブログやインターネット業界で話題になっていることです。
・Ad Innovator『今日の「テレビCM崩壊」:3刷決定。総合第7位、ビジネス書第2位。DL8037。』
この話題に関連して、ちょっとびっくりする様なデータがあるのでご覧ください。
天下の公正取引委員会が平成17年11月にまとめた『広告業界の取引実態に関する調査報告書』という調査レポートがあります。
一部抜粋しますと、
by 公正取引委員会『広告業界の取引実態に関する調査報告書』
■ テレビ広告(番組CM)取引において,以下の理由により,広告会社の新規参入が非常に困難
1. 電通をはじめとする有力な広告会社がCM枠の大部分を確保
2. 既存の広告主が優先される原則
3. テレビ局による情報開示が少ない
■ テレビ広告(スポットCM)取引において,広告会社の報酬格差は最大 20%あり,最低限の基本報酬しか得られない中小規模の広告会社は,価格競争で不利
■ 口頭による取引が少なくなく,媒体社,広告会社及び広告主の広告取引の当事者に適切な情報が与えられず,市場メカニズムが働きにくい状況
■ 広告の効果やコストに関する広告主の意識は必ずしも高くない
という実態がわかります。
ひとことで言えば、あまりフェアな取引ルールにはなっておらず、GoogleのAdwordsに代表されるオークション形式の入札システムとは大きく異なる構造であることがわかります。
ここでポイントは、『既存の広告主が優先される原則』という点だと思います。
詳細は元資料を見て頂きたいのですが、要は『一度広告枠を離してしまうとなかなか取れなくなってしまう』という現状があるため、ちょっとやそっとでは広告主というのは降りられないものなのです。
これは大手のナショナルクライアントであればあるほど傾向が強くなると思われます。
確かに、検索連動型広告やコンテンツ連動型広告の方が費用対効果は高いのですが、そう簡単にテレビCMはやめられない構造になっているのです。
自分が大企業の広報部長だという気持ちになってみればわかります。確かにテレビ広告は高いけれども、『テレビCMをやっている会社』というステータスがやはりあります。『老若男女皆が知っている』とか『ゴールデンタイムをスポンサーしている』等のイメージは大きな影響力があります。しかも一度やめてしまったら、総簡単にはもう一度広告主になれるとは限らない。こうなったら、なかなか決断できませんよね。
ですので、大手広告主、特にゴールデンタイム等のプライムスポットについては、まだまだテレビCMというのは強いポジションを持ち続けるのではないか、と考えています。
※ちなみに、『テレビCM崩壊』は、こちらでなんと第一章が読めるという太っ腹ぶりです。是非どうぞ。
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テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0
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