ディズニーの入口はなぜひとつ?

 今日もディズニーランドのマジック戦略について。
 ディズニーランドには一つしか入り口がありません。ディズニーシーも同様です。ランドには、ワールドバザール。シーには、ヴェネツィアの様な欧州の町並みと地球を模した大きな噴水があります。
 落ち着いて考えると不思議なことだと思いませんか? あれだけ大きな規模で、1日の入場者数が莫大であるにも関わらず、一カ所しかないんです。

by Flickr『theevilmightyf's Disneyland Entrance』

 実は、これには大きな理由があります。創業者のウォルト・ディズニーさんが、効率を考慮して複数入口を設けるべきだと言う人達の意見を押しのけ、譲らなかったそうです。
 それは、『映画は途中からみるもんじゃない』ということです。ディズニーは映画の世界を忠実に再現しようとして創られたため、映画を途中から見ても映画の良さが100%が伝わらない、と考えたウォルト・ディズニーは反対したということです。

 なるほど納得ですよね。文字通り夢の世界への架け橋となる入口があっちこっちにあって、お客様がそれぞれ違う体験やイメージを持って入園したら、こちらの意図する世界観を伝えることができないわけです。だからこそ、比較的日常性を感じさせるワールドバザールというショッピングモールを入口に持ってきているとか。

 入口=出口のため、ワールドバザールが出口にあるというのは、販促の面でも効果があるわけですが、それよりなにより、お客様に最高の世界を100%体験してもらうために効率性を犠牲にする、という精神がすばらしいですよね。
ディズニーのミッションは、『ハピネスを提供する』ことだといいます。何でもかんでも効率性を追求するよりもお客様がハピネスを感じるにはどうすべきかを考える。すばらしいですよね。


 現在のウェブでは、YouTubeに代表される様に動画コンテンツがシーン毎に分割利用されてきています。検索エンジンしかり、Blogしかりです。コンテンツひとつひとつにURIという住所をつけて、好きな場所に直接アクセスできる世界が創られつつあります。

 これは効率的で再利用性を高めるとう良い面がある反面、提供者の考える世界やサービスを100%伝える、という観点ではマイナス点もあるのかもしれません。先のエントリで、『必ずしも垂直統合×で水平分離○ではない』、と書きましたが、こちらも同じ様に、必ずしもコンテンツやサービスのモジュール化は○ではないのだろうと思います。

 世の中の流れを全て肯定するのではなく、こういった感覚を持ってビジネスを創っていきたいですね。