Yahooの魅力論
Yahooのシニアバイスプレジデント(日本で言うと副社長クラス)のメールが流出してしまったそうです。
紹介しても問題なさそうな内容なので取り上げます。
ヤフー幹部、WSJに大胆な内部メモを掲載--ブロガーたちの反応は? - CNET Japan
"「われわれの戦略は、オンライン世界に広がっている無数のチャンスの上にピーナッツバターを塗っているようなものだと揶揄(やゆ)されているのを耳にした。その結果、すべての領域に広く薄く投資が拡散し、何1つとして特出した専門分野を持てずにいる。わたしはピーナッツバターは嫌いである」(Garlinghouse氏のメモ)"
英文はこちら。
ピーナッツバターという表現は、大企業で業界トップ企業にありがちな『広く薄い投資』を上手く表現していると思います。
本当は、フレッシュなトマトやレタスがサンドされていたり、ピリッと一味違ったマスタードなんかもあればいいんでしょうね。
という冗談はさておき、なぜこんな問題が起きるかです。
TechCrunchによると、この方はこんな改善案を挙げられています。
TechCrunch Japanese アーカイブ » YahooのBrad Garlinghouse、権力闘争で一歩先んじる
"1. ビジョンの明確化
a) われわれの目指すものが何であるか、何でないかを、大胆かつ決定的に定義しなくてはならない。.
b) われわれは周辺的な事業から出て(売却?)して、プロジェクトや事業の重複を排除しなければならない。"
要するに、『選択と集中』によって『コアコンピタンス(核となる競争力)』に特化すべき、というよくある経営論です。
これはこれでいいと思います。では、Yahooのコアコンピタンスって何でしょうか?
例えば、集客力だったり、登録ユーザ数だったり、ブランドだったり、検索だったり、多彩なコンテンツ等が挙げられると思います。
しかし、本当のYahooの競争力はもっと違うところにあると思いませんか? YahooをYahoo足らしめているのはなんでしょうか?
私は、その『多様性』にあると思います。矛盾しますが、Yahooの悩みであり競争力はその多様性にあると思うのです。
Yahooに行けばなんでもある。決してスピードは速くないしオリジナルでもないけれど、何でもある。お決まりのUIで安心して使うことができる。取り敢えずYahooさえ見ておけば安心。
そんなところがYahooの価値ではないかと思うのです。
確かに、不採算なコンテンツやサービスもあるでしょうし、似た様なサービスが乱立しているのかもしれません。でも、それこそがYahooの魅力ではないでしょうか。トラヒックの高いコンテンツだけに集中した方が効率は良さそうですが、果たして効率だけを重視すべきはYahooでしょうか? それはもっと小さなベンチャーがやればいいのではないでしょうか。
世の中の企業には役割があります。スピードとクリエイティビティを世の中にもたらすベンチャー企業もあれば、信頼や大衆性を売りとした大企業サービスもあります。それぞれが世の中に必要なものです。
Yahooが無理してその役割を変えてしまうことはないと思うんです。果たして効率の良いコンテンツしか提供しないYahooが魅力的でしょうか?
例えば、Googleがトラヒックがほとんどないコンテンツをインデックスから排除したら、Googleの評判はどうなるでしょうか?
YouTubeが人気のない動画を次々と削除していったら、あそこまで大きくなれたでしょうか?
効率面だけ見ていると、大切なものを失うことがあります。
Yahooには、Yahooにしかできない、ちょっぴり効率が悪いけれど、長い目広い目で見るとYahooの特徴になっている『多様性』を失わないでいて欲しいものです。
日本もすっかり寒くなってきました。明日は久しぶりの小春日和だそうです。