iPhoneが魅せた垂直統合の価値
iPhoneのすばらしさが世界中で話題になっている。現時点で完璧なものではないかもしれないが、ここ数年で最も注目されたモバイル機器なのはまちがいない。というか、iPhone以前に近年最も注目されたのはiPodだ。結局21世紀になってから世界のモバイル機器を引っ張っているのはアップルということになる。
そんなiPhoneは、タッチスクリーンと見事に調和したアプリケーションのUIが賞賛されているのだけれど、これを受けてあらためて垂直統合の価値をアップルが示してみせた様に思う。
日本でも海外でも携帯電話はハード・OS・アプリ実行環境・アプリのそれぞれが分かれている。例えば、ハードはSAHARPやPanasonicやNEC等、OSはSymbianやLinuxやBREWやWindowsMobile、アプリ実行環境はOSネイティブやJava、アプリはACCESSやメーカの合弁会社が作っていたりする。
一方、iPhoneは全てアップルオリジナルだ。Macと同様にハードからアプリまで全て一気通貫でアップルが手がけている。だからこその調和だ。だからこそのユーザエクスペリエンスだ。上記の一般的な水平分離は開発コストを低減するために意味のあることなのだけれど、標準技術や汎用仕様は、結局標準であり汎用だ。差別化できないし、調和にも限界がある。
どちらのモデルに優劣があるわけではなく、それぞれのメリットでメリットがある。ただ、しばらく水平分離の勢いが強かっただけに、Appleが垂直統合の価値を魅せてくれたことを賞賛したい。さすが『Think Different』だ。