規模の経済はなぜ起こる?

 経済の重要な法則の一つに「規模の経済」があります。企業経営のかなりの部分はこの法則に支配されているとも言えます。これを求めて企業は規模を拡大したり合併したり提携したりします。


 では、この「規模の経済」は何故起こるのでしょうか?


 わかりやすく言えば、「まとめてやった方が効率が良い」というこです。一つ一つ作るよりはまとめて作った方が同じ作業を繰り返さなくていいのでコストが下がります。また、大量に発注してもらった方が在庫管理が楽なので余計な在庫ロスによるコストを削減できます。


 では、似た様な業種は全部まとめてしまった方が世の中効率よくなるんでしょうか? 経済が発展するのでしょうか?


 実際はそうとも言い切れません。確かに効率は良くなるかもしれませんが、多様性が失われてしまいます。近いものをどんどんまとめてしまうことによって画一的になってしまいます。今後の発展があり得ない完全に飽和した世界ならば規模の経済を単純に追求すればよいでしょうが、実際はそんな世界は存在しません。どんな業界でも前進するし改革の余地は残されているからです。だからこそ、多様性を残す意味があります。多様性をなくすわけにはいかないのです。

 「規模の経済」ほど確実でわかりやすい法則はないので、ついついこれに邁進しがちですが、ちょっと止まって多様性(つまり将来の未知の可能性)を失ってしないか考えたいものです。