Skypeって結局どうなの?

 Skypeを買収したeBayが価値を見直しているというニュースです。

スカイプの共同創設者ゼンストローム氏、CEOを退任--収益モデルの確立成らず[CNET Japan] インターネット-最新ニュース:IT-PLUS


"しかし買収が成立してから2年近く経った現在、eBayのオークションウェブサイトとSkypeの音声サービスの統合はほとんど実現していない。Skypeは世界最大のVoIPプロバイダーに成長したとはいえ、買収の結果は明らかである。つまり、Skypeは26億ドルという高額な価格に見合うだけの収益を上げていないのだ。

 RBC Capital Marketsの管理ディレクター兼インターネットアナリストであるJordan Rohan氏は、「Skypeのサービスは、無償サービスとしては絶大な人気を誇っている」と述べた。「しかしある時点から、無償という戦略は通用しなくなった。管理の問題ではない。ビジネスモデルの問題である」(Rohan氏)

 とはいえSkypeは、VoIP分野では1種のサクセスストーリーであった。加入者ベースでは、2005年には5700万人であった登録ユーザー数が、2007年6月末には2億2000万人に増加している。つまり2年弱の間に1億6000万人以上も増加したことになる。また同部門は7月18日、9000万ドルの売り上げを計上し、2四半期連続で黒字決算を達成したことを明らかにしている。"

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=RS2035771902102007


 収額が適切であったかどうかというのは、単にeBayが行った企業価値算定(デューデリジェンス)がまっとうだったかという問題なので、部外者にとってはあまり意味がありませんが、気になるのは2億2千万を超える登録ユーザがいながら、売上が9000万ドルに過ぎない点です。年換算すると約440億です。これは売上高なので、利益はこの数分の一から数十分の一になります。既存の電話事業者の収益と比較すると、同じユーザ数で考えた場合、数十分の一から数百分の一の規模です。

 もともと無料通話や格安のSkyeOutが売りなので、利益が少ないのは当たり前ですが、それにしても産業としてこれは正しい姿なんでしょうか? 儲かるものを儲からなくしてしまう技術というのは世の中にとって良いことなのか? 一消費者としては安くなるにこしたことはありませんが、ここまで急激に市場を縮めてしまう革新というのは、果たして良いことなんでしょうか?

 せっかくユーザが価値を認めてお金を払っている市場を破壊する。これは良いことなんでしょうか。まだ結論は分かりませんが,考えていきたいテーマです。