Googleと”放送と通信の融合”

 日、Googleが米国の周波数オークションで負けたことが話題になった。負けたというより、「負けるが勝ち」的な戦略がむしろ評価されている。

グーグルの700MHz周波数帯入札の敗北は実際には勝利だった?:ニュース - CNET Japan

負けるが勝ち――700MHz帯競売に敗れたGoogleが手にしたもの - ITmedia News


 の続報として「WiFi2.0計画」なるものが浮上してきた。TV放送で使われている周波数の隙間にあるホワイトスペースと呼ばれる帯域をWiFi等の免許不要の通信利用で使えるように開放を求める活動だ。

Google、「Wi-Fi 2.0」計画を明らかに - ITmedia News


同社は米連邦通信委員会FCC)への意見書の中で、地域無線波を使ってテレビのチャンネルの間にある「ホワイトスペース」周波数帯にアクセスする低出力デバイスの計画を概説した。同社幹部はこの計画を「Wi-Fi 2.0あるいはWi-Fi on steroids」と呼んでいる。  「この周波数帯をもっと効率的に使えば、経済的、社会的に大きな利益をもたらし得る」と同社は意見書で述べている。  Googleワシントンオフィスの通信・メディア担当弁護士リチャード・ウィット氏は、この種のWi-Fiバイスは最終的に1秒間に数十億ビットというデータ転送速度を実現し、1秒当たり数百万ビットを転送する現行ブロードバンドネットワークよりもずっと高速だと語る。消費者はワイヤレス端末で映画を見るなど、今の比較的低速なネットワークでは難しいことができるだろう。


 業が政府に要求を突きつけて行く様子はどこかソフトバンクを感じさせる。米国の放送と通信の融合はすさまじい勢いで進んで行きそうだ。一方、日本に目を向けるとこんな残念な状況のようだ。

池田信夫 blog


しかしテレビ局は、VHF帯でもうけるつもりはない。大事なのは、新規参入を妨害するために帯域をふさぐことなのだ。昨年の在京キー局の売り上げは1兆6000億円、経常利益は1250億円と好調だが、それは番組がすぐれているからではない。普通のテレビで、無料で見られるチャンネルがそれしかないからだ。拙著『電波利権』でも紹介したように、地上波テレビ局の企業戦略は一貫して、この寡占状態を守ることだった。ケーブルテレビを零細化し、BSは子会社で全部ふさぎ、IP放送は著作権を盾にとって妨害してきた。これは独占企業の行動として経済学の教科書に載っているmarket foreclosure(市場からの締め出し) という、きわめて合理的な戦略だ。(*)


 得権益を持っている企業としては賢い戦略なのだろうが、それを制御できない政府ってなんなの?と思ってしまう。この池田信夫さんのブログによると『放送業界の政治力は圧倒的に強いので、行政も手をつけられない』とある。まあ政府に頼っていても仕方がないので、まっとうなビジネスで崩していくしかないのだが、その一番手はこれまたGoogleだ。Googleはすばらしいが、日本の企業も頑張らねばと思う。一番手は色々なトライをしているSONYか、はたまたソフトバンクか、NTTか?


 本人はどうも現状を受け入れ過ぎというか、現在のヒエラルキーを崩そうという動きが弱いようだ。崩そうという意欲は小さいが、自分がそのヒエラルキーの上の方に行くための努力はすごくする。テレビ局自体を手に入れようとするホリエモンや三木谷さんの様な人は少ないが、就職活動でテレビ局を希望する人はわんさかいる。そんな国民性の様に思う。これにはいい面もわるい面もあるが、それがまさに『国民はそのレベルにあった経済しか得られない』ということだろうか。

 現状のテレビ局にもいい面は多々あるので、テレビ局を手に入れようとしたり壊さなくてもいいと思うけれど、世の中をもっと楽しくしていく行動は慎んじゃダメだと思う。