リアルビジネスとバーチャルビジネス。そして言葉の意味。

前回に続いて、リアルとバーチャルをビジネスの観点から。
一般的にリアルビジネスやバーチャルビジネスとはどんな意味で使われているだろう?

リアルとバーチャルという言葉の持つ定義について、私の考えは前回のエントリで述べた通りだ。
だが、この世界ではこの認識はまだマイノリティーだろう。
間違ったあいまいな定義でリアルビジネス、バーチャルビジネスという言葉は使われている気がする。

例えば、RFIDタグによってリアルとバーチャルが結ばれる、とか、ネット企業のリアルビジネスへの進出、なんてことが平気で言われている。これは正しく言葉の意味を理解して使っているだろうか?
おそらく、旧来の(バーチャルという言葉が出現する以前の)ビジネス全般をリアルビジネスと呼び、インターネットやパソコンで扱われる手に取って触れることのできないものを利用したビジネスをバーチャルビジネスと呼んでいるだけだろう。
物理的に存在する何かを使ったものがリアルビジネスで、PC等が扱う様な単なる電気信号だけを使ったものがバーチャルビジネスという感覚だ。

だが、この分類がおかしいことは前回指摘した通りだ。物理的に存在するものも、実際は単なる信号にすぎない。人間が、それがそこにそのように存在すると認識できる信号が存在しているにすぎない。本当はどうかわからない。人間以外の生き物には違う様に認識されているかもしれないのだ。
だから、リアルもバーチャルも単なる信号で、人間がそのまま理解できるか、コンピュータ(OS、コンパイラインタープリタ、出力機器含む)を介して人間が理解できる形に変換する必要があるか、の違いしかない。どっちも信号という点で本質は一緒である。

だったら、こんな言い方はしないで、オールドビジネスとニュービジネスという言い方をした方がよい気がする。(これはこれで違う誤解を招きそうなのであまりいい例ではないが・・)


何が言いたいかというと、なんとなくしかわかっていないのに、それっぽい言葉を使っていると、やっていることまでそれっぽいけど中身のないものになってしまうから注意してほしいということだ。

リアル、バーチャル、マルチメディア、ユビキタス、グローバル、ソーシャルネットワーク、Blog・・・。全部定義があいまいなのにそれっぽいから好まれて使われている。
よく意味がわかっていないのにこういう言葉を活用して消費者を騙そうとしていると、自分自身が騙されてしまいがちだ。

例がわかりにくかったかもしれないが、言葉というのは非常に強力なので、注意して使った方がいい。くれぐれも人を騙すような言葉を使って欲しくないし、自分も騙されないようにして欲しい。単なるキャッチコピーのつもりで使っていると本質が見えなくなってしまうものだから。