ウェブは人を賢くするか?

今日はウェブと人間の脳の発達について。

 Google等の検索エンジンによって、従来とは比較にならない程、作業効率が高くなった。
何か知らないことがあれば、すぐ『Google』。ネットになさそうな情報があれば、すぐ『はてな』。ニュースが知りたきゃ、『Yahooニュース』。あれどこだっけと思えば、『Googleデスクトップ』。例えばこんな感じだ。

 とても情報の処理が簡単になり、まるで脳がコンピュータ、インターネットとつながって拡張されているかの様だ。


 で、ここで疑問に思ったのが、便利になっているけど、僕らは賢くなっているのだろうか?、ということ。

 扱う情報量は増えているけれど、逆にすぐ忘れてしまっても後で見つけるのが簡単なので、記憶や整理といった面では楽をし過ぎてしまっている気がする。
自分の頭で考えなくても、専門家の意見を入手するのが簡単になったので、それで満足してしまいがちだ。

 もちろん、人それぞれの使い方次第なのだけれども、どうも脳を発達させている部分とそうでない部分がありそうだ。
良い悪いではなくて、人類の進歩の流れがそういう風になってきているということだ。


 簡単にまとめてみると、


○扱う情報量が圧倒的に増えた(ウェブ、検索エンジン、メール、RSS
○他人とのコミュニケーションが増えた(メール、IM、SNS
○文章を書く様になった(メール、Blog)
○復習しやすくなった(ソーシャルブックマーク、デスクトップサーチ)
○学習が止まらない(ウェブ、検索エンジン、Blog)
○共有、フィードバックが増えた(ウェブ、Blog)
×記憶する努力をしなくなった(検索エンジン、デスクトップサーチ)
×情報を整理しなくなった(デスクトップサーチ)
×他人の意見に流されがちだ(ウェブ、SNS
×自分で考える前に情報を調べようとする(検索エンジン


 等があると思う。


 脳の専門家でないので、医学的な見方や定量的なデータはわからないが、定性的には上記の様なことを感じる。
扱う情報量が圧倒的に増えているので、以前より脳を使っている気はするのだけれど、他人の知識を使うことであまりに簡単に問題を解決することができるので、ウンウン一人で頭を悩ますことは減っている気がする。

 脳科学なのか社会学なのかわからないが、こういった研究はないのだろうか。インターネットが普及し出してからのここ10年で、間違いなく人間の発達は変わってきていると思う。
小さい頃から当たり前の用にインターネットを日々使っている子供達はどんな人間になるんだろう。僕らが想像もつかない様なハイパー脳を持つんだろうか、それともどこか抜けているんだろうか。
あと10年もすると随分世の中が変わってきそうだ。


 繰り返しになるが、これは良い悪いではなくて、進化の流れ、方向が変わって来ているということだ。
僕個人としては、インターネット以前より以後の方が楽しいので、それでいいんじゃないかと思う。
もちろん、楽しければそれでいい、という意味ではなくて、その大前提の『道徳や情緒』といったものはインターネットによって失われたりしないと思うからだ。
国家の品格』で藤原正彦さんが繰り返し言われている『道徳や情緒』といったものが失われる様では困るけれども、そんな事はないと思うからだ。
ウェブ進化論』(id:umedamochio)でウェブが変わって来ているのと合わせて人間も変わって来ている。インターネットによって何かが色々と変わって来ているのは確かだけれど、総じて良くなって行くと信じたい。
『ヒューマン進化論』は明るい内容になると思う。