TVとネットの住み分け論
今日は、「TV vs インターネット」の住み分け論についてです。
連日、YouTubeに関する記事や意見がウェブを賑わしている一方で、次の様なニュースがありました。
by CNET Japan『サッカーファンはテレビに集中?--W杯日本戦最中のネット利用者が減少』
対戦中のウェブ全体の利用者を、前4週平均利用者数と比較すると、第1戦の22時台が約41万人減の約304万人、23時台が約34万人減の約276万人だった。決勝進出に後がない状況となったクロアチアとの第2戦は、さらに減少傾向が強まり、22時台が約70万人減の約268万人、23時台は約59万人減の約219万人となった。
(中略)
個別に見ると、ブログの利用は、ウェブ全体の傾向と同じだが、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)では前4週平均比103.5〜288.2%と、全試合を通じ、試合中およびその前後1時間で、前4週平均を上回っている。掲示板は、クロアチア戦が行われた23時台が、前4週平均比56.1%の 14万人と、前4週平均を大きく下回った。
全体として、ワールドカップ中にネットの視聴率が落ちている、という論調です。
これはこれで意味のある調査だと思うんですが、いくつか「こういうデータもあればなー。」と思う部分があります。
この、ネット利用率が下がったという点については、あれだけ視聴率高かったんだからそりゃそうだろう、という気がしてしまうのです。今回のワールドカップは史上初めて大々的にネット配信が行われた訳ですから、それを絡めた分析があれば尚良かったのではないでしょうか。
例えば、
- TV放送を見ずに、ネット配信を見た人の割合
- スポーツニュースではなく、ネット配信でダイジェストを見た人の割合
等です。
TVが完全にネットに飲まれる訳はないのですから、無理にTV優位の情報を流す必要なんてないと思うんです。
もっと自信をもって、どうやって住み分けられていくのかを論じて欲しいなと思います。
こちらの調査会社さんは放送局や広告代理店とつながりが強いので、一面だけしな見ないと『都合のいいデータだけでしょ』と変に勘ぐられてしまうと思うんです。
せっかく、すばらしいタイミングでいい調査をされているんですから、多面的に見た方が逆に印象が良くなるのでは、と思います。
TV放送の方が、画質がいいのも、ディスプレイサイズが大きいのも、映像視聴に適した場所に置かれているのも間違いないんです。
一方、ネットの方が、オンデマンド性が高いのも、関連情報を手に入れやすいのも明らかです。
それぞれ良さがあるんです。
変化が起きているのは確かなんですから、「お互い一歩も譲らん」ではなくて、仲良く住み分け方法を考えて欲しいものです。
今回のワールドカップネット配信はせっかくのケーススタディなんですから、視聴率やトラヒックデータを取れる立場の人はチャンスだと思って、しっかりと分析して欲しいなと思います。
そして、これに関連して、映像サービスで起きている変化を『Life is beautiful』の中島さんが書かれているので、紹介します。
by Life is beautiful『見たい番組の存在は『放送後』に知ることが多い、だからYouTube』
どの情報も『放送後』に入手したために、以前であれば、「おもしろそうな番組を見損なって残念」で終わっていたのが、最近は「とりあえずYouTubeに上がっているかチェックしてみよう」という行動パターンをとる私である。あらかじめ予約などしなくて良い手軽さと、つまらなかった時に失う時間が秒単位であるという効率の良さが、今までだったらテレビサーフィン中に偶然そのチャンネルに出会うことでもしなければ見なかったような番組を見ることを可能にしてくれるのである。
(中略)
まだまだ著作権法だのビジネスモデルに問題を抱えるYouTubeだが、人々のテレビ番組との接し方が、「事前に録画予約などぜずに、話題になった番組の一部もしくは全部を後から見る」というものに変化することがほぼ確実なことを証明してくれている点には大いに注目すべきだ。
ここで言われているのは、ネットの方が便利だという単純な論調ではなくて、うまくネットを利用すればTV側にもいいモデルが作れるのでは、ということだと思うんです。
それぞれの良さをしっかり分析して仲良くいいモデルをつくる大きなチャンスが今来ていると思います。
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