Appleの秘密の戦略とは?

今日はAppleiPod開発秘話について。
本田雅一さんの『週間MOBILE通信』に『PC業界がAppleに学べること』という記事から。

まず、資金が底をつきかけてつぶれる危機にあった際の、立て直し話。

by PC Watch 『本田雅一の週間MOBILE通信』PC業界がAppleに学べること


 まず底を尽きかけている現金を増やさなければ、なんの対策も打つことができない。そこで考えたのが「Appleが潰れると困る会社はどこか?」だった。その答えはスグに見つかる。Windowsの寡占が進む中、何かと批判を浴びがちなMicrosoftが、ライバルとしてのAppleを必要としていたからだ。

 このアイディアを実現するため、ジョブズ氏はゲイツ氏に電話をかけ、すぐに提携と出資が現実のものとなった。アメリオ氏の辞任が7月。それからあっという間の出来事だった。

Appleが潰れると困る会社はどこか?』という発想から、宿敵と見られていたMicrosoftにアプローチするという、極めてロジカルかつ大胆な判断が書かれています。



また、Appleの大躍進の立役者であるSteve Jobsの戦略については、こう書かれている。

by PC Watch 『本田雅一の週間MOBILE通信』PC業界がAppleに学べること


 外部には一切計画を明かさず、決してその“素振り”は見せないものの、「ジョブズ氏は40〜50年という長期に渡る事業計画を持っており、現在のAppleはその計画に沿って順調に運営されている」と福田氏は話す。
Intel CPUを搭載した「MacBook Pro

 たとえばPowerPCからIntelへのプロセッサアーキテクチャ変更も、実は'97年夏からのApple再建計画の中にロードマップとして存在していたという。PowerPCからIntelへの切り替えは、福田氏によると当初計画よりも1年早い。つまり'97年の時点で10年をかけて Intelへのアーキテクチャ変更を完遂するというもくろみを立てていたわけだ。

なんと驚くべきことに、この変化の激しいIT産業において40〜50年スパンの長期計画があるという。世界で最も有名なビジョナリーであるスティーブ・ジョブズのビジョン。なんというロマンチックな秘密だろう。有形の価値があるわけではないけれど、どんなインサイダー情報よりも価値のある秘密の戦略だ。



それから、iPodが生まれるきっかけともなったその企画段階において、SONYを分析があった様だ。

by PC Watch 『本田雅一の週間MOBILE通信』PC業界がAppleに学べること


その第一歩はソニーが得意としていた製品分野を、Appleの得意な領域に置き換え、斬新なアイディアを盛り込みながら企画することだった。

薄型でデザイン性を重視。専用ソフトウェアを開発することで独自機能を織り込むというVAIOのコンセプト。それに音楽を外に持ち出すウォークマンというアイディア。この2つをApple的にアレンジして生まれたのが、初代15型PowerBookとその後「iLife」となる一連のソフトウェア群、それにiPodだ。

さらには、Windowsと勝負していない、ということまで書かれている。

by PC Watch 『本田雅一の週間MOBILE通信』PC業界がAppleに学べること


こうした戦略を実行できたのは、最初から「ジョブズWindows搭載PCを超えるシェアを取ることに興味がなかった(福田氏)」からだともいえる。 Windowsをライバルと見立て、それ以上のシェアを取るのではなく、同氏が実現したいと考えているビジョンを実現するために粛々とできることから順に取り組んでいるのが現在のAppleというわけだ。


こういったApple、そしてSteve Jobsの物語にどきどきさせられるのは何故だろう!? プロジェクトXの様に、成功の影には幾多の困難やチャレンジ、創造が有るのは当たり前だ。だが、アップル、ジョブズとなると、その話がとてつもなく甘美なものに思えてくる。
きっと、それはAppleが『Think Different』だからなんだろう。Differentであるからこそ、人々はその違いに惹かれる。Differentであるからこそ、常に革命の予感が漂う。

成功したプロジェクトもそうでないものもアップルには美しさが漂う。サッカー界のスーパースター、オランダのヨハン・クライフが言っている『他人の真似をして成功するくらいなら、自分のアイディアと共に死んだ方がましだ』という考えに共通する気概を感じるからなのかもしれない。