Appleがまた一歩リビングへ進出
今日はアップルが発表した新ワイヤレスマウス『Mighty Mouse』の狙いについて。
これは単にマウスが新しくなったのではなく、大きな別の狙いがあると思うのです。
製品情報は次の通りです。
by CNET Japan 『“しっぽ”にさよなら--アップル、「Mighty Mouse」のワイヤレス版を発表』
アップルコンピュータは7月25日、スクロールボールを搭載した「Mighty Mouse」のワイヤレスバージョンを発表した。価格は8600円。7月26日より順次販売を開始する。
2005年8月2日に登場したUSB接続タイプのMighty Mouse(5670円)は、スクロールボールを搭載し、指先の動きだけで、縦、横、斜めと360度スクロールできる斬新なデザインで人気を博した。 Mighty Mouseの登場から約1年、いよいよBluetooth2.0搭載のワイヤレス対応Mighty Mouseがお目見えした。単3電池1本または2本で動作する。また、センサーは光学式からレーザーになり、感度は標準の光学マウスと較べて20倍にアップしたという。
ここでポイントはもちろんワイヤレスになったことなんですが、単に使いやすくなったという話ではないと思うんです。
それは、これでTVでMacを使いやすくなったからです。
PCのTVへの進出、いわゆるリビングPCについては、MicrosoftやIntelだけでなくPCメーカからYahoo、Googleに至まで、世界中のプレーヤーが狙っています。
この様な中、Appleは次の様な進出戦略をはかってきました。
- Mac miniというTV接続IFを持った超小型PC
- iTunesやiPhotoによるマルチメディアコンテンツの管理
- Front RowとApple Remote コントローラによるリモコン操作
- iTunes Music Storeによる音楽、映像コンテンツの販売
TVで音楽、映像コンテンツを楽しむための下地は既にできていた訳です。そして、今回マウスがワイヤレスになったことで、ついにPCの最強インターフェースであるマウスがTVでも利用しやすくなったのです。
従来のMac miniでも、もちろんマウスを使うことができましたが、TVの前でケーブルがニョロッと出ている状態で、マウスやキーボードの操作をするのはあまりスマートとは言えません。
Mac等のPCをTVに接続しなくても、もともとブラウザを搭載したTVも登場しはじめていますが、付属のリモコンでは非常に操作しづらいという問題があります。
これが一気に解決されてしまうわけです。
アップルならではのシンプルで美しいデザインのワイヤレス(ケーブルレス)マウスは、TVの前に置いておいても全然違和感がありません。むしろ格好いいです。
あとはMac miniをTVにつないでおけば、TVで簡単にPCアプリケーションを操作したり、インターネットを楽しむことができるわけです。
『Life is beautiful』の中島さんが、アップルのリビング進出についてこんな記事を書かれています。
by Life is beautiful『アップルにして欲しい次の革命』
もちろん、私がアップルに期待しているのは(そしてたぶんディズニーが最終的に狙っているのも)、iPod向けのQVGAサイズのビデオ配信なんかではない。テレビにつないだ Mac 向けのDVD・HDTVクオリティのビデオ配信である。各家庭にハードディスクレコーダーを置く代わりに、コンテンツ配信者にはビデオデータを置いたサーバーからpodcast の仕組みで配信してもらい、いつでも見られる状態を実現するのである。こんなサービスが一度立ち上がってユーザーに認知されれば、最終的には既存の放送局もコンテンツを提供せざるをえなくなり、光ファイバーでのコンテンツ配信の時代への移行が一気に進むことになる。
来年の今頃には、私の家のテレビにはビデオ視聴専用の Mac が繋がれており、podcast で落としてきた映画を見ているのかも知れないと考えると、ワクワクしてくる。
アップルはリビングへの進出を高らかに歌ってはいませんが、今回のマウスによって、かなり外堀は埋まりました。大きくアップルがリビングへ進出したと言えるのではないでしょうか。