Googleは一人でできるか?

 今日はGoogleのTV向け広告について。
エリック・シュミットCEOのコメントや、論文から次の様な推測がされています。

"Google" tagged by Flickr『vegasmike433』


by CNET Japan 『グーグル「740億ドルテレビ広告市場征服」の野望』


このエントリの冒頭には、「テレビの視聴者は『時間の無駄』であるテレビCMを我慢すべきではないとGoogleのCEO、Eric Schmidt氏が考えている(Google CEO Eric Schmidt believes television viewers should not have to stand for tv commercials that are “a waste of your time")」とあり、さらにSchmidt氏は「テレビを観ていると、明らかに自分に向けたものではないことがわかる広告を目にする("When you watch the television you see ads that are clearly not targeted for you.")」ことを不満を感じている、と続いている。

 そして、「対象を絞り込んだ、(効果の)計測可能なテレビ広告("targeted measurable television ads")」をGoogleが提供する準備を進めており、Schmidt氏は「同社がこれを実現する可能性は比較的高い("a good shot at it.")」と述べたという。


Euro ITVで最優秀論文賞を受賞したというGoogle社員の論文はこんな感じです。

の論文のねらいは、「ブロードキャストの視聴を利用して、ウェブブラウザ上に関連する情報を自動的に表示する」ための仕組みを示すことだという。

(中略)

* クライアントサイドのインターフェースは、テレビから出る音を拾って、音声データのサンプリングを行う。ここで解析された音声データは、ユーザーのID(身元特定情報)とともにオーディオ・データベース・サーバーに送られる。

* オーディオ・データベース・サーバー側では、テレビ番組の音声データベース(DB)を保有しており、ユーザーのPCから取得した音声データとこのDBを照らし合わせて、ユーザーがどの番組を観ているかを割り出す。そして、その結果をソーシャル・アプリケーション・ウェブサーバーに送る。

* 番組情報を受け取ったソーシャル・アプリケーション・ウェブサーバーは、PCから返されるユーザーのIDに合わせてパーソナライズされたコンテンツを送りだし、PCに表示させる。また、アドホックなコミュニティをつくりだし、同じ番組を観ている視聴者同士がチャットできるようにする。


ここで、TVにカスタマイズ広告を出すというアイディア自体は、以前から世界中で言われていることなので、今更驚くことでもないと思います。おもしろいのは、PCのマイクを利用して視聴番組を特定したり、関連コンテンツや広告をPCに表示するということです。
つまり、あくまでPCベースであって、TVに何らかの仕掛けをほどこしたり、セットトップボックスを利用することは考えていない様です。この辺がGoogleらしいですね。

TVにIPストリームを流したり、TVでウェブブラウジングするための動きが、通信業界や家電業界を中心に活発になってきています。
こういった動きと比較すると、Googleの狙いはちょっと地味というか異端な気もしますが、これはあくまで論文なので、はたして実際のところGoogleはどんな攻めをしてくるでしょうか。

昨日のエントリ『ちょっとちょっとマイクロソフト』にも書きましたが、Googleがウェブの世界でここまで成功できたのは、マイクロソフトというPFがあったから、という一面があると思います。マイクロソフトすら進出できていないTVの世界にGoogleがどうアプローチしていくのか? 楽しみですね。負けじと考えていきたいと思います。