Googleこそユビキタス

さあ今週も一週間頑張りましょうか。

さて、今日はLife is beautifulでおなじみの中島さんのエントリから。『ユビキタス社会』という使い方が間違っているというご指摘です。

CNET Japan Blog - 中島聡・ネット時代のデジタルライフスタイル:「ユビキタス社会」という言葉は誤用


" ユビキタスとは「遍在する(あらゆるところにある)」という意味の形容詞。ゆえに、ユビキタス・コンピュータ、ユビキタス・ネットワークとは、コンピュータやネットワークがあらゆる所に存在する状態のこと。それが分かっていれば、ユビキタス・サービス、ユビキタス・コンテンツなどの応用もきく。"
(中略)
そこで問題になるのが「ユビキタス社会」という言葉。ユビキタスは形容詞なのだから、文字通りに解釈すれば「遍在する社会」ことになってしまう。これでは意味をなさない。まったく同じ理由で、「ユビキタス時代」、「ユビキタス世代」、「ユビキタス環境」も誤用。

Life is beautiful: ブログを利用して日本語から言葉を一つ消すことができるか?


"もちろん、私一人の力で「言葉を一つ消す」ことなどできるわけがない。私の意見に賛成していただける方々に、ブログエントリー、ソシアルブックマークなどの形で、上のCNetのエントリーで述べた私の意見に賛同する意思を表していただくようにお願いしたい。そうすれば、「『ユビキタス社会』という言葉が誤用だ」というメッセージをIT業界の多くの人たちに届けることができ、この由々しき言葉を日本語から消し去ることができるかも知れない、というのが私の作戦だ。"

これはもっともなご指摘だと思います。主語がないから問題なんでしょうね。英語はとにかく主語が必須なので、日本人はその感覚が違うんでしょう。『ユビキタス社会』という言葉の意味は、正しく使えば『コンピュータがユビキタス化(遍在化)している社会』という意味になると思います。



で、ここでちょっとユビキタスについて語ります。

ユビキタスという言葉は、2001年から2003年頃に爆発的に流行った言葉です。古くはXEROXパロアルト研究所のMarc Weiser氏が1988年に提唱したものですが、日本ではちょうどこの時期に携帯電話の機能が高機能化したり、WiFiが普及し始めたり、RFIDが注目され始めたり、東大の坂村教授や野村総研がさかんにアピールしたため、話題になりました。
その後『たしかにおもしろいコンセプトだけれどまだ実用化は先だね』という見方が大きくなって、ここ数年はトーンダウンしていると思います。

ですが、ちょっと見方を変えてみると、着実にユビキタス化は進行していると思うんです。

ユビキタスの意味は『遍在する』です。一般的には、『コンピュータが日常の色々なものに埋め込まれて、それと意識することなくコンピュータ(のアプリケーションとネットワークでつながったサービスやコンテンツ)を利用することができる』という意味で使われます。キーワードとしては、『Invisible(目に見えない)』『Pervasive(広く浸透している)』『Everywhere(どこでも利用できる)』『Enhance(コンピュータを使うことで人間を強化してくれる)』等です。

そう考えると、GoogleAmazonの狙っているインターネットのプラットフォーマーという立ち位置は、まさにユビキタス化(遍在化)ではないかと思うのです。数多くのサイトでGoogleの広告プラットフォーム(Adsense)やAmazonの販売プラットフォーム(Amazonアフィリエイト)が利用されています。APIを公開することによって、Google以外のサーバやホームページでもGoogleSearchやGoogleMapが使われています。GoogleCheckoutも広がっていくでしょう。これは正に遍在化ではないでしょうか。

元々のユビキタスの意味は上記の通り、コンピュータハードゥエアがInvisivle、Pervasiveになるというニュアンスを含んでいるので、ネットワークの中でサービスを遍在化するというGoolge等のアプローチはちょっと異なりますが、あらゆる所に広がるという点ではとても似ていると思います。例えば『Ads by Google』等の表示が消えたら、知らないうちにGoogleのプラットフォームを使っていることになります。まさに『Invisible』です。


GoogleAmazonのみならず、プラットフォーマーを目指すプレイヤーはウェブ上でのユビキタスな存在(遍在する存在)を狙っていると見ることはできないでしょうか。


ユビキタスの定義はこちらがわかりやすいです。


・ユビキタス・コンピューティング − @IT情報マネジメント用語事典

・増井 俊之さん講演資料/講演予定(アップルに移籍!)