Googleは富豪的思想

今日もいらっしゃいませ。

Googleの日米CEOさんの発言から、今後のGoogleの動きを考えてみます。

検索技術に詳しい人ならばご存知かと思いますが、Googleのみならず、今後検索業界で大きなトレンドのひとつに『パーソナライズ検索』というものがあります。

従来の万人による万人向けの検索結果ではなく、その人に合った検索結果を返すというものです。
例えば『Tiger』というキーワードで検索した場合、マックのOSのことを言っているのか、動物の虎について知りたいのかを、その人の検索履歴や属性・嗜好情報から判断して検索結果を返すという仕組みです。

これについて以前日本GoogleCEOの村上さんがこう言われていました。(2006年1月)

グーグル村上社長「2009年には“人類の知”がすべて検索可能に」


" 最後に村上氏は、3年後の具体的なGoogle像を展望。「2009年にはおそらく、“人類の知”と呼ばれる分野のデータはすべて検索可能になるだろう」と予想した。そして「透明性の高い(検索結果の)パーソナライズを実現するために、ユーザー自身のことを教えてもらいたい。そして、何かを聞かれたらGoogleが即答する環境を作りたい」と具体案を示し、講演をまとめた。"


この『透明性の高い』という意味が私にはよくわからなくて、ブログスフィアでもほとんど議論されていなかったと思います。
それが、今日の米GoogleCEOのエリック・シュミット氏のコメントでなんとなくわかりました。

グーグルが「Google Docs & Spreadsheets」で目指すもの - CNET Japan


" Schmidt氏は、ユーザーが検索履歴を異なる検索エンジン間でインポート/エクスポートできるようにしたいと述べた。「考え方としては、電話番号ポータビリティのようなものを提供したい」(Schmidt氏)

 Googleは何よりユーザーの権利を尊重するとSchmidt氏は話す。「彼ら(ユーザー)の利益に反することをしないかぎり、問題はない。Googleにできることが増えれば増えるほど(よいのだ)。たとえば、ユーザーがデータをあちこち持ち運べるようにする--そしてわれわれがそれを横取りしない、といったことだ」と同氏は語った。"


なんと、パーソナライズ検索のために最も重要な要素のひとつである検索履歴をエクスポートできる様にするというのです。パーソナライズ検索はいわばログインサービス(ID・パスワードが必要なサービス)ですから、ユーザの囲い込みに最も適したものです。それを可搬制にするというのです。

これはいくらなんでもびっくりしましたが、それと同時に、大変感銘を受けました。先日のエントリ『富豪経済と貧乏経済』でも述べましたが、富豪的な考えですね。

囲い込みではなく共有。クローズドではなくオープン。自社利益の確保ではなくユーザ利益の最大化を考える。

一見、損しそうな考えですが、発想の根本にある考え方が豊かなので、最終的にこういった考え(戦略)を取る方が、豊かな結果をもたらすと私は思います。なかなかできない戦略ですが、これこそ成功者(社)のメンタルだと思います。

さすがGoogle富豪的思想ができている。すばらしいですね。あらためてうれしくなりました。