GoogleのUI論

世間はプレステ3の話題でまっさかりですね。しばらくフィーバーが続きそうです。日本初で世界的な話題が起こるというのはうれしいですね。

さて、今日は珍しくGoogle幹部がUIについて語っているので、取り上げてみます。プロダクト&ユーザエクスペリエンス担当ヴァイスプレジデントのMayer氏の検索結果表示に対する考察です。

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"Mayer氏は、Googleが検索に関するユーザーアンケート調査を行い、デフォルトで何件の検索結果が表示されるとうれしいかを尋ねたときの失敗談を披露した。アンケートでは、多くの人が検索結果は多ければ多いほど良いと回答したという。そこで同社は、一部の検索に対し、結果を30件表示する実験を行った。しかし、検索結果を10件表示していたときより、30件表示するときの方が、応答時間が平均0.5秒長くなってしまった。結果、待ち時間に耐えられなくなったユーザーは検索を控えるようになってしまったという。

 Mayer氏は、「これは非常に残念な結果だった。表示する検索結果を変えてはいけないことは明らかだった」と語っている。"


意外なのはGoogleがこういったアンケートを実施していたということですね。圧倒的な技術力を持った先端ユーザのセンスで勝負していそうな雰囲気がありますが、Googleの社訓にデータを重視するとあった様に、きちんと調査しているのですね。
検索ヘビーユーザの人は逆に設定を変更して100件表示にしている方も多いと思いますが、マスユーザを考えた場合、10件というのがストレスを与えないバランスの良い数字なんでしょう。


またAJAX採用理由についてこんな発言もあります。ページを切り替える間がないのがポイントということでしょう。

「われわれがGmailAJAX(Asynchronous JavaScript and XML)を用いることにした最大の理由は、スピードだった」(Mayer氏)。


GoogleMapに対してはこう。

 Googleはあるとき、Google Mapsのページが100キロバイト以上にまで膨れ上がっていることに気づいたという。「そこでGoogle Mapsのスリム化を図り、容量を20〜30%にまで圧縮した」と同氏は述べ、変更に対するユーザーの反応は好意的だったと述べた。


そしてこうまとめています。

 インターネットユーザーは、すぐに結果を得られないサイトから去っていくと、同氏はいう。Web 2.0アプリケーションの成功の鍵を握るのは、スピードであるというのが同氏の結論だ。


Webユーザは3秒待ってくれない、とはWebデザインでよく言われてることですし、スピード重視というのは特に驚くことではないのですが、なにがすばらしいかというと、Googleがやっているのは単なるデザインに留まらず、技術的な改善をしている点です。

上記のAJAX採用やGoogleMapの容量削減に始まり、超並列で世界に分散されたサーバ群、主要ISPとの巨大な帯域接続、インデックス検索アルゴリズムの高速化等の全てがスピードに貢献しているわけです。

今後ますますスピードの改善が進み、人間のキーワード入力とGoogleからの結果返答が著しく早くなった場合、人間の脳とGoogleが接続されている様なものになります。世界最大のコンピュータと世界中の人間が結ばれる様になるわけです。
さあ、そうなった場合、人間はどこで差をつけるんでしょうか? 情報、知識,計算、記憶、連想、調査、分類、等は競争力ではなくなってしまいます。これらで勝負していたいわゆる『頭の良い人』はどこで勝負していくのでしょうか?

その答えのひとつは検索結果から何を感じるかでしょうし、もっとさかのぼって考えると、検索結果というのは検索要求に対して返されるものですから、何を求めたか?(何を検索したか?)が、違いをもたらしそうです。

でもその何を求めるかは、それまでのインプットの影響を受けるわけですから、以前の検索結果が関連しているので、またその検索要求が・・・とずっと続いていきそうです。

果たして人間の違いをもたらすのは、何でしょうか? なんとなく答えはあるんですが、それについてはまた書こうと思います。