どうやれば『みんなの意見は正しく』なる?
昨日に続いて『予測市場』についてです。
どうして『みんなの意見は正しい』のでしょう。 一般的には『会議でみんなが賛成する様なものは大した内容じゃない』とか『成功する企画は当初は酷評される』等と言いますし、当初バカにされたのに大成功したビジネスをあげれば、携帯電話、プレステ、iPod等、例をあげれば枚挙にいとまがありません。
それなのにどうしてでしょうか?
『君主論』で有名な中世イタリアの政治思想家『マキャヴェッリ』の言葉に偶然ヒントを見つけました。
人は、大局の判断を迫られた場合は誤りを犯しやすいが、個々のこととなると、意外と正確な判断をくだすものである。だから民衆も、巨視的な視野を要求される事柄の判断力では頼りにできないが、ミクロな事柄ならば、多くの場合正確な判断をくだせるのだ。
(中略)
つまり、大局的な事柄の判断を民衆に求める場合、総論を展開するのではなく、個々の身近な事柄に分解して説得すればよい。 〜『政略論』〜
もちろん、世論にも欠点はある。真に有益なことよりも、見ばえのよいもののほうに眼を奪われる場合が多いからである。
判断力ということでも、民衆のそれは、意外と正確だ。二つの対立する意見を述べて提供してやりさえすれば、世論はほとんどの場合、正しい方に味方する。
また、報酬が大事だとも言っています。
この場合、思慮ある指導者ならば、どのような人にどれぐらいの報いを与えるかということの配慮なしには、実行しないはずである。なぜなら、このようなことにこそ、民衆は正当な判断力を発揮するからである。
予測市場を実施する際に、『個々の事象に分けて考える』、『二択等のシンプルな形にする』、『見栄えのいいものに惑わされない様にする』(難しそうですね)、『報酬を与える』等が精度に与える影響を調査するのもおもしろそうです。
先のエントリで紹介したGoogleのやり方は、人事評価という報酬を与えている点が効果に貢献しているのかもしれません。
こういった方法論はあーだこーだと議論するより、徹底的にテスト調査してみるのが一番ですね。予測市場のノウハウを研究するのはとてもおもしろそうですし、企業の競争力に直結するのでビジネス化できるかもしれません。
ちなみに、マキャヴェッリは権謀術数的なイメージだけが先行し長い間勘違いされてきましたが、近年ではその政治論やリーダー論が見直されています。マキャヴェッリに対する偏見を解説したのがこちら。
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