Web2.0は誰のため?

ょっと気になる記事がありました。巷に溢れたWeb2.0解釈論の中で、一風変わった見方をされています。野村総合研究所の著名な山崎さんです。

TechTargetジャパン:マイクロソフトはグーグルに勝てるか? (2/2)


 Web2.0の影響下、最近流行しているSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス、即ちサービスとしてのソフトウェア)の掛け声の下では、ITサービスはサーバ上で行われます。

 そうなればユーザー側においては、大きな生産性の向上が見込まれます。ソフトウェアのバージョンアップの都度、個々の社員が大騒ぎしてダウンロードしていた作業時間が大幅に削減されます。セキュリティ用ソフトウェアのパッチを毎週、個々の社員が自ら当てなくてもよくなります。第一、個々の社員にITサービスのセキュリティなど、仕組みの心配をさせたり、時間を使わせること自体、いかに考えても時代遅れです。情報発信のためには「オートマチックの車」とも言うべきブログができました。HTMLという専門的な言語を知らなくてもホームページが作成できます。当然、次はパソコン運用の「オートマチックの車」化がやって来ます。すべての製品をサーバ上で動かすグーグルは、この環境に最も適応した会社です。社員はソフトの仕組みについての煩わしさから解放されます。これはIT企画部門にとっても朗報です。貴重な時間をサーバに集中投下すればよい訳ですからコストが下がります。

 やはりWeb2.0時代とは、シンクライアントと称されるパソコン側に何も蓄えない時代=個々のユーザーが何も心配しない時代を意味すると言えるでしょう。

この最後の部分がとても新鮮です。『ユーザーが何も心配しない時代』という類いの表現は初めて聞きました。確かに、サーバサイドでサービスを提供するトレンドが高まるとこういった側面があると思います。



だ、Web2.0を企業システムやASPとして考えた場合はそうだと思うのですが、一般にサービスを提供するサーバ運営者側から見たらどうでしょうか?

例えば、YouTubeでもBlogサービスでもそうですが、いわゆるCGMサイト(ユーザ投稿型サイト)というのは、管理者側からすると非常に楽なものです。コンテンツを自ら考えてつくらなくてもユーザが自動的に新たなコンテンツを創り更新してくれるからです。もちろん、メンテナンスの手間はありますが、それは企業向けASPでも同じです。

また、2.0のキーワードのひとつであるマッシュアップも、運営者側のサービス開発やサービス利用促進という意味で、運営者側を楽にしてくれるものです。



ったいWeb2.0は、ユーザにとって楽なのか、運営者にとって楽なのか?



えは両面なんでしょうね。2.0の定義が複数あるので当たりまえですが、ある面ではユーザを楽にするし、ある面ではサービス提供者側を楽にする。いわゆるWinWinのスパイラルが回ることで、両者にとって良い構成だと言う見方もできそうです。またひとつ解釈が深まりました。こうやってある人の考えとある人の考えをむすびつけやすくするという点も2.0の魅力ですね。