ネットワーク vs コピー

日のエントリに引き続き、ネットワークとサービスの在り方について。

SaaS型のソフトウェアは、サーバがソフトウェア機能を提供する。一方、デスクトップ型のソフトウェアは、クライアントPCがソフトウェア機能を提供する。

ここで注目したいのは、サーバ型の方はソフトウェアの実体がひとつなのに対して、クライアント型はソフトウェアの実体が複数あることだ。

つまり、前者はひとつのものをみんなで共有するやり方であり、後者は各人がそれぞれ同じものを別々に持つやり方だ。

一見すると、前者の方が美しい。いわゆる「ワンソースマルチユース」というやつだ。同じものを各人がインストールするなんてばかげている様な気もする。だが、ことコンピュータの世界において、ワンソースというのは本当に理想の姿だろうか?


ぜならば、コンピュータつまりビットの世界においては、「複製(コピー)」というものがゼロコストで可能だからだ。リアルワールドでは、ものを複製するという行為には元物を作るのと同じくらいのコストがかかる。しかし、バーチャルワールドでは、ノーコストでコピー可能だ。当たり前のことだがこれはすごいことだ。実世界では同じだけの材料を集めて加工作業を重ねることでやっと同じものが製造される。それに対して仮想世界ではワンクリックで全く同じものを作ることができる。あらゆる情報を複製できるので、ファイルやソフトウェア、つまりサービスの複製も可能だ

となると、『複製するのにコストがかからないならば複製しちゃえばいい』という考え方もある。ワンソースや共有にこだわる必要はない。コピーを各人が持てばいいという考え方だ。

もちろん、正確に言えば、ストレージコストも複製にかかる計算コストもあるわけだが、極めて微小になってきている。


レンドは前者のオンラインサービスだが、『ゼロコストコピー』という魔法が成り立つ仮想世界においては、後者のローカルサービスにも価値は充分あるのではないか。どちらが良いとは言い切れないと思うのだが、どうだろうか。