MSとAdobeが本当に狙っているもの

MicrosoftとAdobeが互いの得意分野に攻め入ったことで話題になっている。

ITmedia News:[WSJ] MSとAdobe、Webの覇権をめぐり衝突は必至? (1/2)

 Microsoftは同日、Webで動作する高機能プログラムを開発するためのソフトウェア「Silverlight」のテスト版をリリースした。これは従来、「Flash」などのWebアニメ・ビデオ用ソフトウェアでAdobeが支配してきた分野だ。

 一方、AdobeはユーザーがPCでビデオを再生するための「Adobe Media Player」と呼ばれる新しい無償プログラムのプレビュー版を発表している。こちらは従来、MicrosoftWindows Media Playerが支配してきた分野だ。Adobeはこのほかにも、コードネームで「Apollo」と呼ばれる技術の準備も進めている。これは、PCにインストールしてWebから情報を引き出せるようなFlashプログラムを企業が開発できるようにするための技術だ。"
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/17/news085.html


あえて一言でポイントをまとめると、

『ソフトウェアPFが、OSからOSに依らないブラウザ等へ移行する中、開発者やクリエイターを如何にして自社PFに引込むか?』

という点だろう。


Microsoftにしてみれば、Windowsでつくりあげたエコシステム(OSと開発環境が充実している→開発者が惹き付けられる→対応ソフトが豊富になる→OSの人気が増す→PCベンダーがOSをプリインストール出荷する→ユーザがみんな使う→開発者が惹き付けられる→・・・)を揺るがす変化が起きているということだ。

Flashは既にWebのリッチアプリケーションの事実上の標準になっており、かつほとんどのOS(上で動くブラウザ)で利用できる。リッチなサイトを作ろうと思ったら、クリエイターや開発者が扱うのはFlashの開発ツールやJavascriptであって、VisualStdioではない。肝心要の開発PFと開発者をマイクロソフトが支配しきれなくなってきている。


この流れを一層進めて、ブラウザのみならずガジェット(ウィジェット)と呼ばれるウェブと連携して動作するデスクトップアプリケーションにまで自社のPFを広げようというのがAdobeApolloやAdobeMediaPlayerであり、それに対抗して逆にAdobeFlashにまで踏み出して一層MS世界を広げようというのがMicrosoftSilverlightだ。


社が真剣に取り組む理由は、各々OSとFlashという既存の宝を守るためだけではない。あちら側にあるサーバサイドのビジネスが大きいからだ。リッチなコンテンツを作成し配信するためのオーサリングツールやサーバソフトは非常に高価だ。YouTubeを始めとしたリッチサービスが増加するにつれその需要は高まる。デファクトスタンダードになればライセンス、DRM、コンテンツ配信サービス、はたまたiPodZune等のこちら側のポータブルデバイスの売り上げにも影響を与える様になる。もちろん携帯にまで広がれば市場は更に大きく拡大する。


こういった全てをひっくるめて、先を見据えて勝負しているのが、本質ではないかと思う。


っちがどうなってもいいけれど、特許や提訴で変な競争をしないで、まっとうに共創してウェブをもっと楽しくしてほしい。開発者の方を向くのはとても大事だけれど、結局最後にジャッジをするのは僕らユーザだということを忘れないで欲しい。