Googleがバナーに走った理由を考える

wanwangorogoro2007-04-19

GoogleがDoubelClickを買収したことについて、数日おいてから考えてみた。喧騒が収まってから考えるとまた違うことが浮かんでくるのでいいものだ。

ITmedia News:Google、DoubleClickを約31億ドルで買収


"Googleエリック・シュミットCEOは「DoubleClickの技術は大手広告主やパブリッシャー、代理店に広く採用されており、2社の組み合わせにより、ディスプレイ広告におけるGoogleの革新的な進歩(技術)の普及が加速されるだろう」とコメントしている。"
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/14/news012.html

グーグル、ダブルクリックを現金31億ドルで買収へ - CNET Japan


"買収によりGoogleは、広告主やウェブパブリッシャー向けの大規模な広告販売/配信ネットワークを手に入れ、Yahooに遅れをとっていたバナー広告ビジネスを強化することが可能になる。"
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20347125,00.htm


Google広告業界における支配的地位だとか、機械的でない広告を取り入れた意義とか、色々なことが考えられるけれど、一番気になるのは、僕らユーザの広告耐性・感性だ。


Adwords、Adsenseが登場したばかりの頃は、バナー広告が全盛だった。Yahooを始めとした大手ポータルには派手で目が疲れるバナーが並び、本当に見たいコンテンツの気をそらしてしまうので、なんとなくうざいものだった。そんな中Googleのテキスト中心の広告は、シンプルで目障り感がなく、新時代を象徴する歓迎すべきものだった。


ところが、どうだろう。最近、僕らユーザはテキスト広告に慣れきってしまった。はっきりと視点を合わせなくても、それがテキスト広告だとわかる。これをクリックするとお金が入るんだということがわかる。サイト運営者がクリックを求めているのが伝わってきてしまう。こうなると、どうしても逆にテキスト広告から目とマウスカーソルが離れていく。


一方、バナー広告は高度なデザインや美しく楽しいものが増えてきた。むしろバナーの方が好意的に見えてしまうときもある。デザイナーやクリエイターはテキストよりも画像や動画を駆使した広告の方が創造力を生かしやすい。たしかサイボウズの社長さんが、『広告はそれ自体が価値である』という様なことを言っていたが、そういった高価値の広告はバナーの方が表現しやすい。


まり、僕らの広告に対する心理が変わって来ている。影響を受ける/受けない対象が変わって来た。ずっとひとつの傾向が続くわけではないから、数年後にはまたテキスト広告がもてはやされるのかもしれないが、今はリッチ広告の方にトレンドが傾きつつある気がする。

Googleはそのへんを敏感に(もちろん定量的に計れるのですぐわかる)感じ取ったのではないだろうか。相変わらずさすがだ。