パラダイス鎖国の悪影響?

wanwangorogoro2007-06-27

々なところで、パラダイス鎖国が話題になっているので、ちょっと気になる点を。

その例として、よく携帯電話メーカの国際競争力の低さがあげられています。

これは総務省による携帯メーカの国際シェアの図ですが(モバイルビジネス研究会参考資料)、1位のNOKIAが33.5%なのに対して、日本メーカは合計9.0%に過ぎないと言っています。

でも本当でしょうか?



で5位の6.4%のSEMCとはソニー・エリクソンのことです。50%出資なので、3.2%をソニーの取り分とすると、計12.2%が日本メーカのシェアになります。

確かに1位のフィンランドNOKIAとは大差ありますが、米はモトローラだけなので18.8%、韓国はサムソンとLG合計で19.9%です。

12.2%と比較してそんなに大きな差でしょうか? 製造業は規模の経済が効きやすいので、1位が圧倒的なシェアを持つのは自然なことで、むしろ適度なバランスが取れている様に見えます。

しかも、これは台数ベースのシェアなのか、売り上げベースなのか明記されていません。もちろん利益ベースではないでしょう。年度毎の比較ができる様な時間軸の変化も書いてありません。それぞれの国の人口比率も携帯普及率も考慮していません。日欧米韓中の人口比率を考慮したら、日本のメーカは頑張っている方なのかもしれません。



信方式の違いや文化の違いによって、日本企業にハンデがある様に言われていますが、これも本当でしょうか?

通信方式が違うのは確かですが、日本が先行しているので、今後ノウハウを蓄積した日本メーカが優位になる可能性もあります。文化が違うのは、どんな製品・サービスも一緒です。例えば、デジタルTV放送だって、日本の地デジと欧米韓中の方式は違います。でもデジタル対応TVは海外でも売りまくっています。逆に、携帯では方式や文化が違うことで日本市場を海外メーカに攻められにくいという防御力の高さメリットもあります。世界標準を使っているNOKIAモトローラはいつでも参入されるリスクを持っています。攻撃しづらいけど、守備バッチリという戦術もありではないでしょうか。いや、決して攻撃しづらくないです。



々を考えると、どうもこの図は何らかの意図的なシナリオを作ろうとしたのではないかという気がします。日本の携帯メーカが海外で苦戦しているのは事実だと思いますが、それが企業の経営や日本の産業に必要以上に悪影響を与えているとまでは読み取れません。規模で世界1位じゃなきゃダメという前提がそもそもおかしい気がします。「分相応の経営」「利益優先の経営」「社会影響度優先の経営」「ユーザの豊かさ優先の経営」等の考え方もあります。どうでしょう。

パラダイス鎖国関連エントリ

Tech Mom from Silicon Valley - お久しぶりの「パラダイス鎖国」と「情報発信」を閉ざすことについて
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20070624/1182711632

On Off and Beyond: 日本は世界のブラックホール桃源郷
http://www.chikawatanabe.com/blog/2007/06/post-1.html#more

池田信夫 blog 清く貧しく美しく?
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/852df1be7017354c79352d8e601effff