WikiScanner(Wikiスキャナ)の是非?

wanwangorogoro2007-09-25

 少し前にWikiScannerというツールが話題になった。Wikipediaの編集をどの組織が行ったかを特定するツールだ。編集した人のIPアドレスとそのIPアドレスが属する団体名をマッチングさせている。Wikipediaはユーザ登録することなく編集可能だが、その際のIPアドレスは履歴として公開されている。また、whoisサーバ等を利用すればそのIPアドレスがどの企業等に属するものなのかを判別できる。つまり広くインターネットに公開されている情報を組み合わせるだけで無料でこんな情報がわかるものなのだ。

 企業や省庁から関連する書き込みがあったとして、嘲笑のネタになっているが、これはプライバシー問題に強烈なインパクトを与えている。こんなに簡単にわかってしまうとは思いもよらなかっただろう。同様に自サイトへのアクセス元を分析する「なかのひと」も似た様なサービスだと言える。

WikiScanner - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/WikiScanner

位置情報 アクセス解析 なかのひと - 会社、学校など組織からのアクセスに特化
http://nakanohito.jp/

 もっとも、個人を特定できるわけではないし、皆の善意でつくりあげていこうというコンセプトのWikipediaへの恣意的な編集を防ぐ効果もあるので、おおむねウェブ界では好意的に受け取られている様だ。

 だが、こういうプライバシーの問題は、利用者自身が、どれくらいの情報を取られていてどんな利用をされる可能性があるのかを把握しているかどうかに尽きると思う。本人が認知して納得していればいいのだけれど『そんなの知らなかった』というのではちょっとかわいそうだ。

 現状の個人情報保護法にも同様の課題があると思う。長々しい(ほとんどの人は普通読まない)規約に半強制的に同意させれば個人情報を使って良いことになっている。こんなやり方じゃ『そんな風に使われるなんて』ということが起きてしまう。

 例えば、一般のインターネットユーザはcookieがどんなものかもよく知らないものだ。インターネットは情報をオープンにすることが魅力なのだから、その基本ルールも広くオープンにしていく努力が必要だろう。