企業が衰退するのは世の中にとっていいこと

 と思う。変なことを言っているのはわかるけれど、説明してみよう。


 んな産業でも、いかに売れた製品やサービスであっても、必ず競争が起こり価値あたりの価格は下がっていく。技術の発展による生産の効率化や規模の経済などが主な理由だ。つまり、同じものは時が経つに従って安くなっていく。これって、消費者にとってはいいことだ。企業から利益を得る人たち(株主、経営者、従業員、関連企業)はイヤかもしれないけれど、それ以外の皆にとってはうれしいことだ。


 の流れを突き詰めていくと、経済が発展すればするほど、かつて高かった製品・サービスがどんどん安くなり、無料に近づいていく。だからいいことなんだ。なぜって、世の中から価値が減るわけじゃなくて、別のことをする様になるから。あるものが儲からなくなると、もっと儲かる他のものが開発される。他の産業が起こる。だからいいことなんだ。企業を永続させようとすれば、企業から利益を得ている人たちは困るかもしれないが、別の企業に移ればいいんだよ。大事なのは、企業じゃなくて、人なんだから。世の中なんだから。ひとつの企業に固執しないで、どんどん儲かる企業に移ればいいのさ。


 率化が進んで究極まで安くなった製品・サービスは卒業者なんだ。消えてなくなるわけじゃなくて、立派に成長した、経済の卒業者なんだろう。卒業者が増えれば増えるほど僕らの暮らしは良くなる。格安で洗練された”卒業製品・卒業サービス”が世の中を豊かにする。それらはもうお金とはあまり絡まないけれど、世の中にとって本当に価値のあるものたちだ。そういうもので生活基盤を豊かにしつつ、新たな製品・サービスでがんばればいい。

 今日も一歩ずつ多くの製品・サービスが卒業に近づいていく。その企業にしがみつく人にはイヤかもしれないが、これは世の中にとっていいことなんだ。