YahooやGoogleは独禁法にかかるか?


今日はYahooやGoogle等が独占禁止法の観点からどうなるかについて。

いわゆる独禁法とは、OSにおけるMicrosoftの様に、優先的立場にある企業が不当・不正な方法によって自由競争を阻害することを禁止する法律です。

例えば、

  1. 取引拒絶(の禁止)
  2. 不当廉売(の禁止)
  3. 抱合わせ販売(の禁止)
  4. 優越的地位の乱用(の禁止)

等があります。


で、これにYahooの様な巨大ポータルやGoogleの様な検索エンジン企業が該当するかについて。


まず、『1.取引拒絶(の禁止)』で思い浮かぶのは、いわゆる『Google八分』です。
これは取引相手との取引を拒絶しているわけでなく、単に正当な理由を持ってインデックスから外すだけなので、該当しないでしょう。


次に、『2.不当廉売(の禁止)』ですが、検索連動広告やコンテンツ連動広告はオークション形式による入札を行っているので、問題ないと思われます。
けれども、例えばYahoo等が提供する数々の無料コンテンツやGoogleが提供する無料サービスはどうでしょうか?
従来は有料だったコンテンツやサービスを無料で提供されるのは該当しないのかと。
ただ、これは広告モデルというビジネスモデルが裏にあるわけなので、不当に安くしている訳ではないということなんでしょう。


そして、『3.抱合わせ販売(の禁止)』はどうでしょうか?
YahooやGoogleだけでなく、多くの大手サービス提供者がID付き(ログイン有り)サービスの提供を進めており、表向きは『パーソナライズ』ということになっているけれども、実際は『囲い込み』の効果があり、『あれもこれも自社のサービスを使ってもらう』ことに貢献しています。あまり行き過ぎるとこれは今後問題になっていくかもしれません。
特にYahooは日本で固定と携帯の通信事業にも乗り出すため、コンテンツ・サービス、Yahooポータル、広告、決済事業、ISP事業、インフラ事業等の分離が叫ばれるかもしれないですね。


最後に、『4.優越的地位の乱用(の禁止)』は、強い立場をいいことに不当な取引を押し付けたりすることですが、これは程度の問題なので難しいところです。コンテンツや広告等の他社との取引でよほどのことをしない限り、問題ないのではないでしょうか。


そもそも、インターネットビジネスというのは、参入障壁が低く何か法律で規制されているわけではないので、特権的地位を利用した競争妨害というのは起こりにくいため、あまり独禁法の対象になってこなかったのではないかと思います。

森祐治さんが『リアルにまた一歩近づくグーグル』で書かれている様に、

汎用的な誰もが利用せざるを得ないプラットフォームは、たとえそれが私企業であっても、ライフラインの一種となりパブリックな存在に限りなく近づいていく。そのため、独占禁止という法の網をかけることになる。もちろん、その影響力の大きさをその時点での独占禁止法は直接的に規制できない場合が多い。いつもそれらはイノベーションの結果だったからだ。そのため、常に新たな解釈や変更によって彼らの行動を抑制してきた。

 が、独占禁止法の適用は国という範疇に限定されるものだ。取り扱うものすべてが情報財であり、その影響力が国境を越えることで初めて強力に機能し始めるというインターネットでは、これまでどおりの独占禁止のスキームは通用しない。

という理由もあるのだと思います。

ただ、これだけビジネスが発展し、巨大なプレーヤーが出てくると今後問題になっていくのかもしれません。
僕はGoogleが好きなので、彼らの『Don't be evil』という社訓を信じています。
YahooやMicosoftはどうでしょうか。

ザ・サーチ グーグルが世界を変えた

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(↑この本、Googleの創業ドラマが躍動感溢れて書かれています。おすすめです。)

逆に、きちんと競争しているのに、法律でイチャモンをつけて、経済の発展を阻害する様なことはして欲しくないと思います。
何でもかんでも規制すればいいという訳ではないですから。独占を進めた方がいい場合もあると思います。
法律でも企業のモラル任せでもいいんですが、きちんと世の中のためになるようなルールで競争したところが利益を生み出し、世の中を良くしていくのだと思います。
そのためには、結局、僕ら消費者が適正な目でサービスを見るのが一番ですね。