今後のインターネットを支える技術はどっち?

今日は光ファイバーの価値について考えたいと思います。
森祐治さんがCNETで次の様に書かれています。

by CNET Japan 森祐治・情報経済を読み解く『今こそ光ファイバーならではのメリットを考えるとき』


しかし、光ネットワークのメリットとはなんだろう?みなしユニバーサルサービスとしての意味合いをいまや与えられているブロードバンドサービスだが、その具体的な生活への見返り=訴求価値がはっきりしていないのではないか。

 時折メールやウェブブラウジングを行って、ちょっとした買い物をオンラインでする、あるいは海外のラジオ番組を楽しむというのであれば、ADSL のような常時接続サービスで十分すぎる利用が可能になっている。光というと、映像や音声などの、いわゆるリッチコンテンツ系といったファイル容量の大きなものや高速ストリーミングなどの利用がすぐに思いつくが、現在、ネット利用を積極的に行っていない人たちが多いエリアに光が来たといっても、リッチコンテンツ系のサービスでご利益がすぐに生じるものではなかろう。

おっしゃる通りで、あまりリッチコンテンツを利用しないユーザにとってはADSLで十分じゃん、という意見もあると思います。
ここで、森祐治さんは光の重要性を考えよう、と言っているのであって、光はダメと言っているわけではないんですが、3点書かれていないポイントが有るので、補足したいと思います。

まず、回線速度です。
ADSLはAsymmetric Digital Subscriber Lineの略です。Asymmetricとは非対称、平たく言うと、上り下りの速度が違うということです。つまり、下りは10〜数十Mbpsだとしても、上り回線が数百Kpbs〜数Mbpsしかないわけです。
これが将来的に問題になってくる可能性があります。
Web2.0が『参加の時代』と言われている様に、今後はユーザからの情報発信がますます増えていきます。Blogを書く位ならあまり問題ないかもしれませんが、IMでビデオチャットをしたり、YouTubeの様なサービスにコンテンツをアップロードしたり、Podキャスティングを発信する等の場合、違いが大きく表れてきます。

ソニー ロケーションフリーベースステーション LF-PK1

ソニー ロケーションフリーベースステーション LF-PK1

(↑外出先や海外から家のTVやレコーダーの映像を見ることができる製品です。最近大人気のこの製品も上り速度が重要になります。)


次に、料金です。
こちらの記事では、次の様な比較がされています。

by CNET Japan 森祐治・情報経済を読み解く『今こそ光ファイバーならではのメリットを考えるとき』


 ケーブルテレビ料金をとりあえず比較のために差し引いても、ADSL加入電話が4744円、ケーブルインターネット+IP電話が5439円、Bフレッツひかり電話が5743.5円となり、700円から1000円の月額差が生じることになる(実際には、ADSLBフレッツではISP料金が必要だが、これは僕の家族割引で直接父親は支払っていない。それを考慮しても、光が最も価格的に高いものになることには変わりがない)。加えて、移行のための工事料などが1回限りであっても必要となる。

確かに、これ位の料金差があると思います。
ただ、これは固定電話を使う場合です。ADSLでは固定電話の線を使うので、必ず電話契約が必要になり、1400〜1800円の月額基本料がかかっています。IP電話しか使わない人も、IP電話の月額基本料が無料だとしても、この固定電話基本料は必要になるわけです。
一方、光ファイバーの場合は、NTTのひかり電話だと500円です。そして、Skypeしか使わないユーザにとっては、500円すら必要ありません。

また、固定電話を利用せず、携帯電話しか利用しない人も増えています。これらを考慮すると、あまり使わない固定電話のために1400〜1800円を支払うのは何となく損な気がします。
それよりは、確実に速度に違いのある光の方が意味が大きいのではないかと。額を合計しても実質数百円程度しか差はでないのではないかと思われます。



最後に、通信速度です。
ADSLでも8〜50Mbps程度でるものもありますが、これは理論上の最大値であって、電話局からの距離が離れるに従って減衰したり、様々なノイズの影響を受けます。
一方、光ファイバーの場合は、基本的にノイズや減衰がないため、100Mbpsそのまま送られてきます。
なので、住居環境によっては、ADSLだと3Mbps、光だと100Mbpsみたいなケースが少なくありません。
この差は普通にWebサーフィンをしていても大きいです。
YouTubeGyao、あるいはアダルトサイトの様な動画サイトを見なくても、普通に画像を利用したサイトを閲覧するだけで差が出てきます。



以上の3点のポイントが追加であると思います。
森祐治さんはこの手の専門家なので、もちろんこれらをご理解された上でなお問題提起されている訳ですが、迷っている人はこの辺も考慮された上で決めると良いと思います。