負けるなYouTube!これは僕らのチャンスだ!

今日はまたまたYouTubeのビジネスモデルや著作権問題についてです。(以前のYouTube関連のエントリはこちら)

CNET Japan『動画共有サイトYouTubeの成功は一時的なもの--米アナリストが指摘』という記事が話題になっています。

by CNET Japan『動画共有サイトYouTubeの成功は一時的なもの--米アナリストが指摘』


Martin氏は、YouTubeには広告で利益を上げる以外に道はないと語る。同サイトの視聴者が、会員登録やコンテンツのダウンロードに料金を支払おうとする可能性は低いからだ。
(中略)
広告を掲載すれば、視聴者離れを招く恐れがある。Martin氏はレポートの中で「(YouTubeと競合する)広告を掲載しないサイトが出現し、YouTubeに見切りをつけたユーザーを取り込むまでどのくらいの時間を要するだろうか」と述べている。
(中略)
また、YouTubeが優良企業に、同サイトに広告を出すよう説得できるのかという疑問も残る。メディアの間では、YouTubeが提供する一部のコンテンツの内容があまりに下品であるため、大手の広告主を呼び込むのは難しいのではないかとの見方が多かった。
(中略)
 Martin氏はレポートの中で、YouTubeと同社の競合企業は将来、著作権問題に悩まされることになるだろうと指摘している。

 同氏は、YouTubeが将来直面する困難をNapsterが無料のファイル共有システムから有料会員制サービスへの転換を図ろうとした際に直面した困難になぞらえている。

 「1990年代末に、Napsterはカルト的な地位を確立したが、合法ビジネスへの転換を図ろうとした途端にファンに見捨てられた」(Martin氏)


要するに、次の様な問題があるのでビジネスモデルが成り立つ可能性が低く今の話題性は一時的なもの、と言われています。

  • 広告以外にモデルがなさそう
  • 広告モデルはユーザ離れにつながる恐れがある
  • 広告主がつかない可能性
  • コンテンツ著作権の問題

更にまとめて言えば次の2つに集約できます。

  1. 広告モデルすら難しそう
  2. 著作権問題も難しそう



全くその通りだと思います。ただ、『難しい』と『不可能』は違うのもまた真実かなぁと。


例えば、『1. 広告問題』の場合、たしかに日本のGyaoやYahoo動画の様に、番組途中に動画CMをコンテンツ内に挿入したからといって、そのモデルが成り立つとはまだ証明されていません。
GoogleVideoも先日バナー広告と番組最後に動画CMを入れた試験を開始しましたが(CNET Japan記事「Google Video」、一部有料コンテツが無料に--広告の試験導入を開始)、効果測定はこれからといったところです。

最も効果的なモデルはこれからこういった試行錯誤によって研鑽されていくものなので、ダメ出しをするのは早すぎるのではないかと思います。少なくとも、圧倒的なPVを誇るわけですから、なにがしかの広告モデルが成り立つのは明らかだと言えると思います。

もちろん、コンテンツの最初に関連性のない動画CMが挿入されたりすれば、多少のユーザ離れが発生するかもしれませんが、Yahoo等のポータルサイトによって良くも悪くもバナー広告にユーザが慣れてきているという現実があるため、多少のバナーでユーザ離れが起きる可能性は低いと思います。

また、不適切なコンテンツが含まれるためブランドを気にする広告主が付きにくいのではないかという懸念も、YahooやGoogleを考えれば問題ないことがわかります。
なぜならば、YahooやGoogleから辿り着けないアダルトサイトがあるでしょうか?検索エンジンのキーワードランキングの上位はアダルト関連の用語で占められていると聞きます。それでもYahooやGoogleはきちんと広告主をつけている訳です。このように、関連性を考慮して広告を掲載すれば全く問題ないことがわかります。



次に、『2. 著作権問題』ですが、これは確かに大きいと思います。
けれども、『(ナップスターは)合法ビジネスへの転換を図ろうとした途端にファンに見捨てられた(からYouTubeもダメだよ)』というのは、ちょっと考え方が違うんじゃないかと思うんです。
そもそも『合法ビジネス』がユーザに受け入れられなかったということは、法律が効果的でない、ということではないでしょうか? ユーザ側だけじゃなくて、著作権者側にとってもいい効果をもたらさなかったんですから。合法ビジネスじゃなくて、効果的なビジネスを考えればいいんです。で、そのビジネスモデルが法律に反するなら、法律の方を変えればいいだけの話です。

もちろん、著作権者の権利は大事です。
有料で売っているもののコピーを配布して売り上げが落ちちゃうっていうのはもちろん問題です。それは著作権者に悪影響を与えますから、長い目で見るコンテンツ制作者のモチベーションを下げる事になり、結果的に消費者も不利益を被ります。
こういうのはダメです。

でも、YouTubeは以前のエントリ『YouTubeの著作権問題はどうなるのか?』で書いた様に、

  • コピーするわけではない
  • 画質が著しく低い
  • 時間制限(10分)があるため、映画等を丸ごと観れるわけではない


等の制限があり、逆に宣伝効果もあるため、事実上の落としどころになりつつあります。


ここで、この落としどころがどこになるかは、僕ら次第だと思うんです。著作権者も含めて僕ら次第です。今後のコンテンツビジネスをどういう形にしていきたいのか?、を決めるのは一部のメディア等ではなく、僕等なんです。


悪いモデルを支持すれば必ずしっぺ返しがあります。いいモデルを支持すれば皆が幸せになります。
例えば、ファイル交換サービスは利用者のことしか考えていないシステムだったので、一時的には便利だったかもしれませんが、ウィルスという大きな被害を被ることになりました。
著作権者や関連メディアの利益だけを考えた旧来の音楽配信サービスは、全く流行らず無駄な投資に終わりました。
でも、iTunes Music StoreiPodを見てください! ちゃんと皆がハッピーになるビジネスモデルっていうのはできるんです!

●iPod classic 第5世代 30GB ホワイト●MA002J/A

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(↑iTunes+iPod著作権者にも愛されています)

自分達だけの事を考えていては必ずモデルが崩れます。ユーザ側だけでも著作権者側だけでもダメです。皆がハッピーになるモデルが必ずあります。既存の法律にとらわれずに考えていけば、必ずその答えが見つかると思うんです。今の法律が〜だからダメ、じゃなくて、いいモデルはどうあるべきなのかを考えるチャンスです。
音楽の時みたいにスーパーマンSteve Jobs)が正解を示してくれればいいですが、大きな失敗を繰り返してしまうかもしれません。皆で皆が幸せになるモデルを考えていけばいいのではないでしょうか。
YouTubeは、その問題提起や解決案をしているすばらしいサービスだと思います。



ということで、頑張れYouTube! これは僕らインターネットの構成員にとって、チャンスです。
皆にハッピーなモデルを考えるためのチャンスだと思って柔らかくやってきましょう。