Googleがいち早く気づいた事。ギブ&テイク。

インターネットでの経済について。

リアル経済は価値の交換をお金で媒介していて、価値交換というメカニズムが基本にある。
何かをしたら対価をもらう。その中間物として、お金という媒介物、尺度を使っている。
要するにギブ&テイクというわけだ。

お金持ちというのは、それに値するだけのギブをしているからお金をテイクしているのだと思う。
楽して儲けている人もいるかもしれないが、それは別の言い方をすれば効率のいいビジネスをやっているということだ。
効率のいい方が経済にとってはいいことなので、楽して儲かるならばその方がいいということになる。
(もちろん手を抜いた方が良いという意味ではなくて、同じ成果を得るのならば、労が少ないやり方の方がもっと他のことに労を使えるから、経済全体としては良いことだという意味)

つまり、大してギブしていない様に見えるケースでも、それは努力とギブの効果が比例しないからそう見えるだけであって、傍目には楽そうでも、効果があるならばそれは意味のあるギブなのだ。

要するに、リアルワールドでは、ギブ&テイクが実にうまく釣り合っている様に思える。つまり経済性が取れている。


で、いつもの疑問だが、ウェブではギブ&テイクはどのように行われているだろう?


まず、ウェブの世界だけで完結する場合。
わかりやすい様にテイクから先に考える。


□Take

  1. 情報を取得する(HP、Blog)
  2. コミュニケーションをする(メール、SNS、IM、掲示板)
  3. 情報を検索する(検索エンジン

□Give

  1. 情報を発信する(HP、Blog)
  2. コミュニケーションをする(メール、SNS、IM、掲示板)


ここで番号がそれぞれ対応しており、1『情報を取得する』と『情報を発信する』が対になる。
数年前までのウェブでは、情報を取得することばかり(いわゆるROM)で、情報を発信する人が少なかった様に思える。
だからギブ&テイクが釣り合っていなかった。
それを改善したのがBlogで、簡易な発信の仕組みによって情報発信者(=ギブする人)が増えた。
しかし、ギブしてもそれに対する対価がないと何事も長続きしないものだけれど、GoogleAdsenseによってそれに経済性を与えた。つまり、発信しトラヒックを集めることに経済的価値が認められ、ギブ&テイクが成り立ったのだと思う。


次の2『コミュニケーションをする』については、文字通り互いのやり取りが釣り合っているということで、ギブ&テイクが成り立っていると言える。


では、3『情報を検索する』にあたるもののギブは何だろうか?
例えば、検索するという行為そのものがギブに当たるという考え方があると思う。これは検索によってニーズを発信するという行為自体がギブになるという意味だ。このニーズを供給サイドに紹介する役目を果たしているのがAdwords等の検索連動広告なのだと思う。
つまり、ここでもGoogleがギブ&テイクのバランス取りに成功した訳だ。

検索者は検索というサービスの対価としてニーズを伝える。Googleはニーズを広告とマッチングさせ、広告主にニーズを持ったユーザを誘導する。広告主はユーザの誘導に対して対価を払う。このように3者間のギブ&テイクが成り立っている。



Googleがやっているビジネスは至極シンプルで、ウェブにおける経済バランスを取っているだけなのだ。まだ経済性、つまりギブ&テイクが成り立っていない部分に経済性を与えただけなのだ。

そう考えると、まだウェブでこのギブ&テイクが成り立っていない部分にはビジネスチャンスが有ると考えることができるのではないだろうか?

ただ、こういうアプローチでビジネスの狙い所はわかるかもしれないが、肝心のいいサービスができるかどうかは別問題だから難しい。
梅田さん(id:umedamochio)の最近のエントリにある様に、Googleイノベーションを生む秘訣のひとつとして、こんな風に言っている。

(8) Worry about usage and users, not money
Provide something simple to use and easy to love. The money will follow.

まさに言い得て妙で、moneyの事ばかりを考えていても肝心な『something easy to love』は生まれない。『Worry about usage and users』(使い勝手やユーザについて考えよう)であって初めて『The money will follow.』(お金は後からついてくる)なのだ。
だからビジネスは楽しいのだと思う。

では、それについてはまた次回考えたいので、お楽しみに! 意見もらえると助かります。